2017年3月30日木曜日

達成について考える

達成とは,物事を最後までやり遂げること,目的を果たすことであると意味が紹介されています.
また,達成を英語では”achievement”と訳しますが,その語源を辿ると元々の意味は”a”(始まり)と”chief”(終わり,最高位)と”ment”(状態を表す接尾語)の組み合わせになります.つまり,”achievement”は始めから最後まで達することができた状態を表していると言えます.


ここで,この達成という言葉についてより深く掘り下げていきたいと思います.
始まりが何を意味しているか,いつを指しているのかというと,思い立っているまさに今この瞬間のことです.
もちろん過去の自分と現在の自分を比べることもあると思います.しかし,物事をやり遂げるということに焦点を当てるならば,行動を起こし自分の未来を変えられるのはこの瞬間からでしかありません.
また,やり遂げるという最後の到達地点は何を意味しているかというと,目標とする未来の自分です.
つまり,自分がこうありたいとイメージしている理想の状態にあたると思います.

当たり前だと思われることをあえて言いますが,望む状態があるということは今の自分はそこには至っていない状態にあるはずです.そして,望む状態は未来にあるということになります.
達成という言葉を整理すると,今この瞬間の自分の状態から自分が目標とする状態にまで変化していくことであると言えます.
ただし,志向や関心(=欲望)は自分の心身状態やきっかけによってその都度変化していくので,目標とする状態に近づいていくとその目標も修正や変更が図られていくはずです.
このあたりは価値について考えるという点とも同様であると思います.

これらのことから,目標とする状態に変化していくという達成を目指すのではあれば,今この瞬間の自分をどんどんとその目標に向けて変化させていく必要があります.
矛盾しているようですが,その行動と目標のバージョンアップを繰り返していくと終わりの状態に至ることができないかもしれないですね.
しかし,そうやって一人一人が自分を進化させていくということは,人類の歴史がその積み重ねの過程を表現しているようにも思えます.
だいぶ壮大な話になりましたが・・・

2017年3月27日月曜日

価値について考える

今回は価値について考えていきたいと思います.
価値の元々の意味は,『ある物事がどれくらい役に立つかという度合いやその値打ち』のことです.
しかし,価値を厳密に考えると,”自分にとっての”という自らの感性を出発点として必ず生まれています.そのため,自分にとって絶対的な価値を感じていても,他人が同じように価値を持っているとは言えません.
また,全ての価値は目的や関心,欲望,さらにはある契機(きっかけ)といったものによって生じてきます.


例えばですが,1つ100万円と値がついたダイヤモンドを高いと思うか安いと思うかは人によって異なり,その人の心身状態や関心によってもたらされます.
また,単純に食べ物の好みでいうと,今は焼肉が好きだと思っていても,焼肉を食べた後ではアイスクリームが好きだと思っているかもしれません.もっと自分の好みに合った料理に出会うと,それが好きと思うようになっているかもしれません.

このように,価値には自分にとってのという感覚を前提として,自分の心身状態や関心,あるきっかけによって,その都度変化していくものであると言えます.
少し難しい言い方だと,契機・志向相関的に価値が決まっていくと言えます.

また,人間関係のこじれる原因として,価値観の違いが挙げられると思います.
極端に考えると,誰かと同じ価値の感覚を持つということは,その人と全く同じ心身状態で,同じ生活や経験をしないといけないということになります.そんなこと現実的には不可能ですよね.
そのため,人間関係を良好に過ごしたいと思うのであれば,誰かと同じ価値観を持つことを目指すのではなく,価値観は元々人によって違うのだという前提に立って考えなければいけません.
その上で,人の価値観を尊重することやその基盤となっていることを理解すること,それと同じくらいに,自分の価値観の基盤となっていることを相手に理解してもらえるように努めることが重要です.

最後に,達成動機(目標達成するためのやる気)においての価値を考えたいと思います.
自ら行動することや頑張りたいと思えることには,潜在的にそのことに対して価値を持っているはずです.そして,その価値は契機・志向相関的に変化していくはずです.
そのため,今自分が目標にしていることは,本当に自分にとって価値があることなのかを度々振り返ることや軌道修正を図る必要があります.
または,努力が徒労にならないように,簡単に価値が変化してしまわないような目標設定を行うことが要になります.

そして,その目標は本当に自分が主役の人生を送るためのものになっているかという観点から,自分の価値判断に則って考えてみてください.
ある人のアドバイスを鵜呑みにして頑張るということは,その言葉に価値を置くのではなく,それを言う人自体に価値を置いているのかもしれません.
無意識的に誰かの価値を叶えようとするのではなく,自分にとっての価値を反映させられるようにしてくださいね.

2017年3月14日火曜日

自分が主役の人生を送る

人生って誰のものですか?
当たり前ですけど,自分の人生は自分自身のものですよね.
同じ様に,他人の人生はその人自身の人生です.
人生の主役は自分自身ですが,主役だからといって自分の好き勝手にすれば良い,自分が一番目立てば良いというわけではありません.
これは,単純に自己主張をしてください,自分らしく誇りのもてる人生を歩んでくださいみたいなことを言いたいわけでもありません.


こんな人生になったのはあいつのせいだ・・・
親や偉い人の言う事を聞いて,その通りにしてきたのに上手くいかなかった・・・

このように,辛い時や自暴自棄になっている時には,まるで自分の人生を誰かに委ねたかのような言い草になってしまうことがあります.

自分自身の人生を送るということは,自分で物事を決断し,その決断や行動に責任をもつということです.
誰かに決断を任せるわけではなく,誰かに責任を押しつけるわけにもいきません.
誰かのアドバイスに沿って動いたのは自分です.言われたことに従ったのも自分です.
どんなに重要な決断だとしても,最終的には自分で決めて,自分が行動しているので,必ず自分自身にふりかかってくる問題となります.

決断には必ず責任が伴います.
その責任を負ってしまうのは,時に恐ろしくなることもあるかもしれませんが,自分の人生を誰かに代わってもらうこともできません.

医療や福祉,介護などの分野においては,自分のこと(行動)は自分で決めるという意味の”自律”を重要視しています.
この自律についての考えは,終活にも反映されていると思います.
自分の人生の最後をどのように迎えるか,当たり前ですけど死んでしまってからは決められないので生前にしっかりと考え,準備をしておくということ.
つまり,できる限り自分の決断を踏まえた人生を送るということです.

自分には全くわからない,知る由もない事柄だからこそ,誰かに決めてもらいたくなる気持ちになることもあります.
だからこそ,様々な人からアドバイスをもらったり,たくさん情報を集めることをしてください.
どうせ責任は自分自身で負わなければならないのだから,後から後悔したり恨んだりしないように,自分で納得できるように決断してください.

2017年3月11日土曜日

満足による幸せと日々を生きるという関係

満足(satisfaction)とは言葉の通り,十分に満ち足りていること,望みが満たされて充足した状態のことです.

例えば,空腹が満たされて満足した.叶えたい目標が達成できて満足できた.
これらは自分のしたいこと(欲望)が満たされており,まさに幸せを感じられる状態と言えます.
反対に,満たされていないからこそ不自由を感じ,不平不満がたまって時には不幸せだと感じるかもしれません.

では,自分の現状に満足して感動に浸りながら暮らすことで,本当に幸せを手に入れられるのでしょうか?


現状に満足すること,今この瞬間を幸せに感じること,それはとても大切なことです.

ただ一つ,気をつけなければならないことは,私たちには”時間”があるということ.
この時間によって自分は日々老いていく,一歩ずつ人生の終わりに向かっている.
周りの誰にとってもこの時間は平等であるため,周りの人は日々進歩しているかもしれません.いつの間にか自分だけ取り残されているかもしれないという可能性は,念頭に置いておく必要があると思います.
今に満足し過ぎて,自分を変えることへの恐れが自分を立ち止まらせてしまい,どうしようもできない制約を生んでしまうことがあります.
あの時あぁしていれば・・・気づいた時にはもう手遅れだったということもあるということです.

不自由で満たされない感覚は,時に辛いものであるかもしれません.
でも,満たされていないからこそ,それを満たそうとする気持ちである”やる気”が湧いてくるとも言えます.
もっとこうしたい,こうであれば良いのにという将来の自分に対する期待が,満たされていない現状を変えようという動機になります.
その動機は,自分にとっての目標に向けられたものなら,それはれっきとした達成動機と言えます.

現状に満足できず,何とか現状を変えてみせると思っている人ほど,自分を変えるための努力をしています.
頑張っている人ほど,満足を感じられないから不幸であるというわけではありません.
幸せになるための条件の一つである,欲望を叶えるための能力を上げられる可能性があるからです.

叶えたい目標が達成できたら,また新しい目標を見つけましょう.
欲望は自分の身体状態やきっかけによって変わります.だからこそ,その欲望を叶えるための目標も新しくすれば良いのです.

だからこそ,満足や不満が良い悪いというわけではなく,限られた時間である人生においてはどちらも大切にして過ごしてください.

2017年3月8日水曜日

ガムシャラな頑張りはアブナイ

一生懸命に何かに打ち込むことは,自分自身を高めてくれるし,人生をとっても充実したものにしてくれるでしょう.
でも気をつけてください.何に対してもガムシャラに頑張ろうとする前にちょっと冷静になってください.

会社員の時にこんなことがありました...
なかなか業績がうまく上がらず,お客様からのクレームも多く聞かれる時期が続き,職員の疲労もピークになっていました.
職員全員はサボったりすることなく,とても真面目に仕事をしているのになかなか上手くいかない状態でした.
そんな中での会議で上司からのコメントは,
「みんな頑張っていると思いますが,成果が出ていないのでもっと頑張っていきましょう」
職員全員はうつむきながら「はい」と返事をする...

この状況は努力が足りないからなのか!?
すでにみんな頑張っているのに,これ以上頑張れというの!?
このままだとみんなに過労死してしまうよ.
僕は,単純にこう思いました.


結論を言うと,成果をだすためには頑張り方がとても大切です.
どうやったら努力に対する結果が得られやすいかを考え,どのように頑張れば良いのかの戦略を立てておくことが重要になります.

上手くいっていない時にはそれなりの原因が必ずあります.それを無視するといつまで経っても上手くいきません.
本当にただ努力が足りなかったのなら,それはもっと頑張りが必要なのかもしれません.
でも,仕事には責任感や給与が発生するために,まともな人ならすでに頑張っているはずです.
努力や運がなかったのなら継続的に頑張ればいいかもしれないけど,うまくいかない原因を突き詰めて,基本的には方法を変える必要があり,それはりっぱな戦略になります.

やはり頑張った分だけの成果が出せないと,何事にも希望が見出せないという感情がわいてきます.
これは,バーンアウト(=燃え尽き症候群)や学習性無力感(=何をやってもダメだという感覚)という,労働衛生にまつわる問題としてもよく取り上げられるようになっています.

上手くいかない時ほどちょっと冷静になって,周りの状況を整理して,目的に沿った頑張り方を考えるようにしてください.

2017年3月7日火曜日

幸せになるための条件

幸せだなぁって感じられる時ほど,なぜ自分が幸せなのかを深く考えることはあまりないですよね.
逆に不幸が舞い込んできた時ほど,何でこうなったんだと自分を顧みて悩んでしまうかもしれません.
誰もが幸せな時ほどその感覚に浸っていたいし,不幸せな時ほどすぐにそこから抜け出したいと切に思いますよね.つまり,不幸から抜け出すことは考えるけど,幸せを感じられるためのシンプルな条件には気づきにくいのです.


幸せや不幸せといった感情は自分の感覚でしかありません.
そのため,幸せを感じられるための条件として,(1)欲望の閾値(=満足する基準)を下げる,(2)欲望を叶えるための能力を上げる,(3)欲望の内容を変える,ということがあります.
(1)欲望の閾値を下げるとは,極論を言うと”生きてるだけでまるもうけ”の状態になるということです.自分に命があって,呼吸が行え,太陽や景色を見れるだけでも良かったと思えれば,いつでもどこでも何度でも幸せを感じられます.
このように,自分が叶えたい欲望よりももっと根本的な大事なことに気づき,それを優先させることで実行できます.

(2)欲望を叶えるための能力を上げるとは,今の自分よりももっと欲望を叶えられる可能性を広げるということです.この能力には,必ずしも自分自身の体を動かすことだけではなく,人とのコミュニケーションや物事を深く考える思考なども含めたあらゆる技術があります.
ここで大事なのは,がむしゃらに頑張るのではなく,欲望を叶えるためにはどんな技術を高めれば良いのかを見分けることです.

(3)欲望の内容を変えるとは,叶えたい欲望自体を変えてしまうということです.今の欲望を我慢するということではなく,自分はどのような欲望に生きる意味を見出すことができるのかを明らかにし,そこに対して一歩ずつ前進できる感覚を得るということです.
そのためには,自分はどんな時にどんなものに喜びや嬉しさ,生きがいなどの関心が向きやすいのかを意識することです.この関心の向きやすさは,自分の心身状態やきっかけによって変わってしまうので,幸せを感じたい時こそ改めて欲望の変更をする必要があります.

とにもかくにも幸せは自分の感覚だからこそ,自分で見つけるしかないんですけど,そのコツを掴んでおくことが重要ですよ.

この自由や幸せについての考えは,苫野一徳さんの著書「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学でとてもわかりやすく書かれています.
ぜひ読んでみてください.