2017年5月1日月曜日

学生との面談を通して見えてきたこと

現在,学生さん達は新学期を迎えており,私はサブチューターとしてもっぱら数名の学生さんと面談を行っています.面談の主な目的は,1)授業に関する学習状況(習慣)はどうか,2)大学生活はどうか,ということです.
大学での授業は義務教育のものとは違い,単純に時間を掛けて学習をやるかやらないかで成績に大きく関わってきます.最近はGPAという成績評価方式が導入されており,成績の良し悪しを大まかに判断されたりします.成績があまり揮わない学生はやはり教科書に向かう時間も少ない傾向にあります.


そうした面談から見えてきたことは,やる気がなくなっている状態は概ねいくつかの原因に分類できそうだという感覚です.また,その分類に応じた対応も色々と考えながら面談に活かしてみました.

まずは,そもそもの目標がなかったり,目標がはっきりとしない,または目標に価値を感じていないというパターン.
私の所属する学科はリハビリテーションにまつわる作業療法士を育成する学科であるため,もちろん学生のほとんどはその職種になるという進路が決まっているはずですが,この職業にもあまり価値を見出すことができていないという状態に陥っていることもあります.
価値を決めるのは”自分にとってどうか”ということが大前提としてあるため,コンコンと私自身にとっての価値を押し付けてもあまり意味がありません.
しかし,なぜこの学科を選んだのかという理由を尋ねると,少しでも人の役に立てるんじゃないか,自分の得意なことや好きなことが活かせそうなどのきっかけが思い出されてきます.原点に立ち返ると,当初抱いていた将来の職業への憧れや価値が浮かび上がってきます.
こうして価値の再認識を行えるような声掛けやコーチングが有効かなという印象があります.

次に,自分ではある程度目標を認識しているし,学習しないといけないことはわかっているけど行動が伴わないというパターン.学校では友だち同士で話をしたり遊んだり,家に帰ると疲れて寝てしまうといった,学習する時間が取れないという確固とした習慣が出来上がっています.
目標への価値を認識できていてもそれに対する行動へ移せないのは,目標を達成するために費やす時間が習慣化されていないためです.自分のやる気という不安定で気分に左右されるもの,根気という意志に神経を注ぐ必要があるものに頼っていると,精神的に疲れて次に行動へ移す際に余計に取り掛かりにくくさせます.
そのために,歯磨きや風呂に入るのと同じレベルで,日課にしてしまえば決心が必要ではなくなります.その新しい日課を作り出す際には,学生本人に何から始めるかを考えてもらうようにすると自分のペースで行えるし,自己決定という責任感が生まれるのかなと思います.

最後に,学習の仕方がわからないことや何からどう手をつければ良いかがわからずに,非効率な時間を過ごし,理解が進まないというパターン.
せっかく学習に掛ける時間を確保できていたとしても,ただ教科書を眺めるだけでは実感が得られにくく,文字という視覚情報だけに限定されるため記憶にも定着されにくい状態となります.せっかく勉強しても何の役に立つかわからないという感覚となり,勉強しても無駄だという事態に陥りかねません.
このような学生には,グループでの学習を勧めています.といってもみんなで集まってワイワイするわけではなく,膨大な学習内容をグループメンバーで振り分け,後に各自がしっかり学習した内容を発表し合うという方法です.この方法だとみんなに教えないといけないという責任感と教え方を工夫するという,様々な感覚情報やエピソードに基づいた記憶となります.
また,自分の心身状態や様々な病気などと関連する大学での授業内容は,日常と結びつくような場面や記憶の片隅にある言葉に気づく瞬間が多々あります.その度に必ず本で確認するなどの反復学習を行うことで,普段の生活で役立つという感覚と記憶に定着させるというプロセスをアドバイスしています.

学習するのにも手を付け始めの頃は,時間や労力を掛ける手間がずいぶんと必要かと思います.
そのため,学習することを習慣にするということと,学習に費やす時間の質を高めることをサポートできればと思っています.
そして,学んだことが役立つという良質な経験をたくさんしてもらいたいなと思うこの頃です.