2017年2月26日日曜日

達成動機って何だ!?

達成動機(achievement motive)とは,”目標をやり遂げたい(=達成したい)という意欲”のことを表しています.

ちょっと難しい言い方をしていますが,目標達成するためのやる気が達成動機というわけです.
実際に達成動機の生みの学問である心理学では,”達成動機はいわゆるやる気のことです”と紹介しています.
やる気や意欲には,何に対して気持ちを向けているかがハッキリとしていないという落とし穴があると述べましたが,達成動機はその弱点を克服する可能性があるものと言えます.


達成動機という言葉の始まりは,一生懸命頑張って成功できる人は,どんな特徴があるのだろうか?という素朴な疑問から始まり,人の性格の一種ではないかと考えられていました.
つまり,特定の人にだけもともと備わっている素質のようなものとされていたようです.

しかし,シンプルに考えると達成動機は特別なものではなく,誰にでも湧き上がってくる共通したものと言えます.
それは,人は誰でも何かしらの行動をとっていて,その行動には理由となる意欲が必ず存在しています.
その理由は,自分にとって価値のある目標である.
その目標は,今の自分から将来なりたい自分の状態にまでたどり着くことである.
こういった条件が整った時に,誰にとっても達成動機があると言えます.
そのため,僕が達成動機を説明する時には,”自分にとって価値のある目標をやり遂げようとする意欲”と言っています.

もちろん,そういう気持ちがあるだけで,その気持ちに行動が伴って目標を達成できるかどうかはその人次第になりますが...
達成動機についてとことん深く掘り下げ,できるだけわかりやすく今後も紹介していきたいと思います.

2017年2月25日土曜日

幸せって何だっけ、何だっけ・・・

幸せって何でしょうか?
順調に物事が進んでいる時には考えもしないのに,ふと不運なことや自分にとって都合の悪いことが続くと考えてしまいます.


幸せに感じる時というのは,要するに自由に感じられた時,欲望が満たされた時と言えます.
例えば,美味しい物を食べられた時,目指していた目標が努力によって実現できた時など.
これらは大小あっても,自分のしたいことが叶った時に感じるという点では共通しています.

ただし,どんなに願っても,努力してもどうしようもないこともあります.または,矛盾する欲望によって葛藤してしまうことが多々ありますよね.
美味しい物を食べたくても,高級な物ばかりは食べられないし,太ってしまうことや病気になって我慢しなければいけなくなることもあります.また,叶えたい目標があまりにも現実的ではなかったり,誰かにしてもらいたい事なんかだとどうしようもありません.
これらのことから,自分の幸せのための欲望や自由とは,何でもかんでも好きにして良いというわけではないと言えます.

幸せとは,いろいろな制約(=どうしようもないこと)が自分にはあり,その制約の中で,できる限り自分のしたいこと・欲望を叶えられるという感覚のことです.
つまり,自分にとっての様々な制約を理解し,どうしようもないことと,どうにかできることを見極めることが必要となってきます.
いつまでも不幸だと思ってしまう人は,意外とこのシンプルな構造を気づくことができず,どうしようもないことをどうにかしようと悩んでいるのかもしれません.

よく物事を”諦める”という言葉を使いますが,この言葉は仏教用語では”真理や真実を明らかにする”という意味があって,”物事を明らかにする”や”しっかりと見極める”ということを示しています.
自分が幸せになるに,まずはしっかりと自分自身やその状況を見つめ直して,”諦める”ということから始めてみるのも良いかもしれませんね.

2017年2月21日火曜日

やる気という落とし穴


何でもいいからとにかく頑張ろうと思う時には,よく”やる気を出すぞ”とか”意欲的に取り組もう”って思いますよね!?
ところが,やる気マンマンで気持ちは高まってるけど,実際の行動が伴わないという失敗の典型は,やる気という言葉に騙されているからです.このやる気や意欲という言葉の曖昧さに落とし穴があります.



やる気とは,何かをやろう(=頑張ろう)という気持ち.
意欲とは,何かをしよう(=頑張ろう)と思うこと.

やる気や意欲は大まかに言うとこのような意味になります.頑張ろうとすること自体はとても大切だし,人生を豊かなものにしてくれると思います.
しかし,これらの言葉の意味を考えると,何に対して向けられた頑張ろうという気持ちなのかが非常に曖昧で,自分のたどり着きたい未来が明確ではない状態となっています.

そのため,やる気に満ちた状態であったとしても,何をどのように頑張れば良いのかわからない.または,頑張ってもそれが良い方向に進めているのかどうかがわからないし,いつまで頑張れば良いのかもわからない.このような状態に陥ってしまう可能性があります.
人は何らかの成果が出ないと努力を継続させることはできません.頑張っても無駄だという諦めの気持ちや頑張ることに対する抵抗が生まれるといった,もっと恐い事態になりかねません.
これは”意欲”についても同じようなことが言えます.

やる気という言葉の落とし穴に引っ掛からないためには,頑張る気持ちの向かう先として目的や目標を設定することがとても大切になります.

2017年2月18日土曜日

どうやって自分を変えるのか??

今までの自分を少しでも変えたいけど,なかなか一歩前進することができない.

自分を変えられない理由として,⑴変わるための行動に不安や恐怖がある,⑵人の記憶はいい加減で忘れっぽいと紹介しました.
それらを乗り越えるためには,それなりの対策が重要になります.


”夢を叶えるゾウ”で有名なガネーシャ

⑴への対策として,行動を起こす際に生じる不安や恐怖に打ち勝つために,心のホメオスタシスを飛び越えることが必要になります.
人のもっとも根源的な動機は,好きという快感情と嫌いという不快感情です.やっかいなことに,人は不快感情の方が強く作用するという特徴があります.つまり,嫌なことから逃げる方がまさってしまうのです.
しかし,これをうまく利用して,「〜ができない自分は格好悪い」や「いつまでも馬鹿にされるのが嫌だ」という不快感情によって動ける方法を考えます.そして,本当に変わりたいのなら,後先考えずに思い立ったその瞬間に行動を起こすようにしてください.
そして,できない理由や変わることのできない理由ばかり考えるのではなく,できる理由や変わることのできた嬉しさをたくさん考えるようにしてください.

⑵への対策としては,いかに記憶を鮮明に保ち,忘れても思い出せるようにしておくかが重要なポイントとなります.
自分は記憶力が良いからとか,こんなに大切なことは忘れるはずがないと思っていても,胸の中で留めているだけでは数日も覚えておくことはできませんよ.自分を過信してはいけません.
忘れないようにするために最も大事なことは,アウトプット(=外部に向けた表現)することです.自分がどのようになりたいのか,何をすべきなのかをメモや張り紙,スマホに書き込むだけでも良いので,すぐに目に付く状態にしてください.さらに,その内容を誰かに語るようにもしてください.これらは単に外部に記憶を残しておくためだけでなく,書くという書字機能や話すという発話機能によって脳全体を活発に働かせることになります.
視覚記憶や聴覚記憶などどのような記憶の回路が得意なのかは人によって違いますが,まずは脳全体の機能を使って夢や目標を忘れない,思い出せる状況を作り出すことが必要です.

2017年2月17日金曜日

なぜ自分は変われないのか??

今の自分に満足できない! もっと素敵な自分になりたい!
誰もがそう思う瞬間があるかと思います.
でも,どんなに崇高な思想や夢や目標を抱いたとしても,変わらない人はいつまで経っても変われません.
それは,変わることのできないきちんとした理由があります.

台湾の台北駅にたたずむ現代美術”夢遊Daydream”
こんな経験はありませんか?
成功者の話を見聞きしたり,とても悔しい思いをして,どんな苦しいことに耐えてでも頑張ろうと決心する.
でも,実際に行動に移ろうとすると,いつも間にか変わらない,変えられない理由をたくさん探している.
そのうち,明日から頑張ろう.しっかりと準備をしてから始めようと考える.
そのまま寝て朝になると冷静になって,やっぱりやめておこう.チャンスを窺おう.
しばらくすると,いつの間にか忘れている...
こうしてまた変わらない自分がそこにいます.


なぜ,人はどんなに変わりたいと願い,頑張ろうと思っても変わることができないのか?
その理由は大きく2つあります.

1つ目は,変わるための行動には不安や恐怖が伴い,それがブレーキになってしまうことです.
人の体には,ホメオスタシスという体内環境を一定に保とうとする働きがあります.それによって体温や血圧が安定しているのですが,実は人の心にもホメオスタシスが働きます.この働きは,私たちが安心して穏やかに暮らすためにとても重要な役割を果たしています.つまり,重要な働きだからこそ優先されてしまうのです.

2つ目は,人の記憶はとてもいい加減で,恐ろしく忘れっぽいということです.
人は日々,本当に多くのことを記憶しようとしています.効率よく物事を覚えるために,情報を加工していきます.そのため,具体的に目標をイメージしていても,次第にそのイメージが歪められ,不明確になっていきます.
また,人が頭の中だけで記憶できる量には限界あります.”桜”や”ネコ”といった単語レベルでは6〜7つ,「〜に電話を掛ける」「部屋に〜を運ぶ」などの文章レベルでは3つ程度が記憶の限界になります.そのため,直近の用事がどんどん優先されてしまい,将来の目標は不明確となり,忘れ去られてしまうというわけです.

次回,”どうやって自分を変えるのか??”について綴りたいと思います.
お楽しみに!!